谷川岳に登るとなると、少し緊張してしまう。谷川岳といえば「遭難」という言葉がまとわりついていて、今でも死の山というイメージが強いのだ。


8月7日




昔、東京にいた頃に何度か、谷川岳に登ったことがある。
谷川岳の登山は、実はJRの駅を降りたときから始まる。駅のプラットホームが地下にあって、夜行でこの土合駅に着くと、ザックを背負った登山者たちが黙々と長い階段を登りはじめるのだ。
なんか異様な雰囲気を感じたものである。
最初の登山は、ロープウェイで天神平まで行って、そこから尾根道をたどるという一番安直な方法であった。
2度目は職場の有志と一緒にやってきたのだが、この時は土合山の家に前泊して、朝早く出発して西黒尾根を登った。
天気は曇っていて、あまり視界はきかなかった。
山の家から登っていく途中に遭難者慰霊公園があって、そこにすさまじい数の遭難者の名前が刻まれた石碑が立っていた。これが強烈な印象として残っている。
みんなで西黒尾根を登ったが、途中4人くらいのパーティとすれ違った。どんなはずみだったのかそのなかの女性が足をすべらして、3mほど滑落したのを見てしまった。幸いたいしたけがは無かったようだが、けっこう急な岩場で、よくあの程度ですんだものだと、今でも思い出してしまう。

さて、今度の登山は仙ノ倉岳が目的である。

深夜、2時頃に車で小山を出発。道は国道を走って前橋に出ればいいのだが、今回は気分を変えて裏道を行くことにした。地図で見ると桐生から大間々を通って、山側を走ったほうが近そうである。ところがこれは失敗で、山道は曲がりくねっていて走りにくく、結局よけいに時間がかかってしまった。
国道17号線を北上して行くが、月夜野のあたりで291号線に入って、水上温泉を目指す。道はどんどん山の中に入っていく。
車は土合駅の前に置こうと思ったが、できるだけ登る距離を縮めたくて、さらに走っていくと、ロープウェイ駅に着いてしまった。その途中には車を停めるところが無くて、結局引き返した。

途中に遭難者慰霊公園があって、懐かしいので立ち寄ったら、その横に駐車スペースがあった。ラッキー、ここに車を停めることにした。
公園からはジグザグの舗装道路をロープウェイ駅に向かい、さらに登って谷川岳登山指導センターに着く。

ここで水を汲んで、谷川岳案内パンフがあったのでもらった。ここから少し登ったところが西黒尾根の登山口である。
5時44分、いよいよ登りはじめる。

鎖場のあるラクダの背は8時40分、ザンゲ岩には9時50分に到着。
天気はあいにくの小雨交じりで展望はまったくきかない。風があって霧がどんどん流れていく。一度でいいからマチガ沢の光景を見てみたかったのだが。

ザンゲ岩からは15分ほどで天神尾根の分岐に着いた。
とりあえずは谷川岳山頂に向かう。
谷川岳のピークは二つあって、普通はトマの耳1963mが山頂とされている。しかし高さではもう一つのオキの耳が1977mと高いのだ。
昔、登ったときは確かトマの耳で引き返したはずなので、今回はなんとしてもオキの耳まで行かなくては、と思ってやってきたのである。
オキの耳、10時45分到着。やっと谷川岳に登ったという満足感に浸ることができた。
ここから肩の小屋に引き返して、休憩しようと思ったが、こんな天気なので小屋は満員で中へは入れなかった。しかたがないのでそのまま歩き続けることにする。
稜線を歩いていくのだが、すごい風になってきた。
息をするのも苦しいほどの強風で、雨も混じっていて大変な登山になった。
オジカ沢の頭は12時少し過ぎに着いて、大障子避難小屋には1時半頃に着いた。すごい強風なので、ここに泊ることにした。最初は一人だったが、後で一人やってきて二人でこの小屋に泊ることになった。
風はは止むことなく吹き続け、一晩中風の音がうるさかった。


8月8日

今朝も風は強い。雨具も十分乾かなかった。
5時頃に小屋を出発して、万太郎山に着いたのは6時半。
展望はまったくダメ。
7時半に毛渡乗越を通過して、200名山の仙ノ倉岳に着いたのは10時頃であった。
頂上はなんかやたらに広くて、かなり急な道を登ってきたのだが、若干拍子抜け。

ガスで何も見えない。
ここからは緑の草原の中の道で、次第に天気も回復してきた。稜線の北のほうは下界が見えるようになってきた。
平標山には11時少し過ぎた頃に着いた。
ここから方向を変えて、南に下っていく。この下りは、立派な木道になっていて、逆に少し歩きにくかった。天気は回復傾向。
「平標山の家」には11時50分着、この頃から時間が気になり始めた。法師温泉から15時25分発のバスに乗りたいと思っている。
しかし、それでも途中にあった大源太山のピークに寄った。性格として山頂があると見逃せない。

三国峠に着いたのは2時半であった。
ここから法師温泉には1時間半かかる。どうしようか。次のバスは5時までない。
…走ることにした。
三国トンネルに沿って下り、国道17号線に降りつく。
困ったことにアルペンガイドの地図はここで終わっていて、道がどうなっているのかわからない。しばらく国道を歩いてそれから谷筋に降りるのだが、その入り口がわからない。ガイドブックにはドライブインの脇から下ると書いてあったが、そんなものはすでに取り壊されて影も形も無くなっていたのだ。なんとか下山口を探し出して走って降りた。。
走り続けて、法師温泉に着いたのは3時10分頃であった。
1時間半の行程を40分で走った。疲れた。

法師温泉は、なにかしら歴史の重さを感じさせる立派なたたずまいで、時間があったら是非入ってみたいと思う温泉であった。
猿ケ京温泉でバスを乗り換えて沼田まで行き、ここからJRに乗って土合に帰ってきた。

疲れ果てて土合に帰ってきたが、まだ最後の登りが待っていた。
土合駅プラットホームから続く長い長い階段。
うらめしく感じた。


遭難者慰霊公園


谷川岳オキの耳


稜線の道、風が強い


大障子避難小屋


強風の仙ノ倉岳山頂


草原の広い稜線。風が強い


平標山山頂


平標山の家から稜線を振り返る


大源太山山頂


三国峠


法師温泉







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