1991/7/20

標高 2052m
日高山脈の最高峰が幌尻岳である。
幌尻岳に登るためには沢を遡るしかない。私の初めての沢登りだったが、みごとに転倒してズブ濡れになった。
 


最も北海道らしい山といったら、やはり日高の山だと思う。
道がなくて、沢を遡るしかない。ヒグマが生息していて、山頂部はすばらしいカールとなっている。そこに点在する池塘群や咲き乱れる高山植物。
日高はけっこうあこがれであった。ただ、それを躊躇させるものがあった。沢を遡るしかない、という点である。
私の登山はすべて自己流で、誰にも技術を教わったことがない。
沢登りなんてどうしたらいいのかわからないのだ。
ガイドブックを読むと、渡渉の繰り返しで靴を濡らすことになるので、運動靴か地下足袋を準備すればいいと書いてある。
岩登りのようなところはないらしいので、ズック靴を用意して出かけることにした。

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釧路から幌尻岳の登山口まで行こうと思うと、けっこう大変である。釧路から太平洋の海岸沿いに西に向かってひたすら走り、日高山脈が海に落ち込む襟裳岬に着く。襟裳岬を観光している暇などなくて、ここからさらに海岸沿い西に向かい、様似町、浦河町、三石町を通過して静内町に至る。この静内から山に向かって北上し、ようやく登山口に着く。
前夜から走り続けて、登山口に着いたのは朝の9時であった。
林道にはゲートがあって、そこから林道を1時間半ほど歩かなければいけない。
取水ダムから、いよいよ沢沿いの、渡渉を重ねる道になる。
こんな登山は初めてなので、けっこう緊張する。
靴は脱いで、持ってきたズック靴に履き替えた。
渡渉を繰り返す道というのは、はっきりした道がないということことなのだ。今までの私の登山では明瞭な登山道があって、それをたどれば良かった。ところが沢を登るということは、自分の判断で右岸でも左岸でも、水の中でもどのようにでも道を選べというこのなのだ。
沢沿いにある道は踏み跡といった程度のもので、それを歩いていって、なんか行き詰まったなと思ったら沢を渡る。そんな繰り返しである。

歩き始めて1時間半くらい、渡渉に慣れてきた頃、みごとに転倒してしまった。
普通、人間は歩くときはなぜか、出っ張ったところに足を置きがちである。沢を渡るときも、つい川底の岩の部分に足を置いてしまう。
これは沢登りでは大きな間違いである。川底の岩の部分には水コケがついて滑りやすくなっている。だから本当は、できるだけ岩に足を置くのは避けて、砂の部分に足を置かなっければいけないのだ。
このことは、後で本を読んで知った。
でも、それは後の祭りで、転倒してズブヌレになって、記録をとっていたビデオも水浸しになってしまった。これ以後、撮影はできなくなってしまった。
この日は幌尻山荘に泊まった。
団体が先に来ていた。
話を聞いていると、どうもツアー客のようで、ガイドがついていた。
最近、日本百名山を登るツアーが盛んなようだが、こうした団体にあったのは初めてであった。
たしかに、この日高の山を登頂するということは、なかなか難しいことで、ガイドが必要かもしれない。そして、北海道まで登山に来るというのは、こうしたツアーに向いているのかもしれない。

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朝、小屋から登り始める。
この日はあいにくの小雨で、展望はきかない。
昨日は沢登りであったが、今日これからは普通の登山道を登る。
急な山道を行く。

ようやく、登山に来たという感じになってきた。昨日、ビデオを乾かしてみたのだが、どうやっても動いてくれない。山を降りてから修理に出すしかないようだ。
小屋から山頂までは4時間少しかかる。
登山道は、北カールを囲む尾根に続いている。
晴れていたら、下にすばらしいカールの景色が見えるはずなのだが、ガスで何も見えない。ただひたすら、山頂を目指して歩くだけである。
山頂からは、さらに縦走して戸蔦別岳に登る予定であったが、天気も良くないし、ビデオも壊れているので、来た道を引き返すことにした。
もう一度、晴れた日に訪れて、幌尻岳と戸蔦別を縦走しようと思ったのだが、再訪はできなかった。
今から考えても、戸蔦別岳縦走を断念したことは、つくづく悔やまれてならない。

けっこう、さんざんな目に会ったのだが、妙に心に残る山行であった。



車止め手前の登山口



今回のザック、重い



取水ダム



徒渉を繰り返す登山が始まる



沢はきれいだ



滝もあった



この直後に転倒
ビデオが使えなくなった





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